腎臓教室 Vol.60
腎臓病患者と福祉サービス
透析を受けている方から、「隣りのベッドの人が身体障害者手帳を持っていたが、私ももらえるのかしら」と問い合わせがあり、スタッフはびっくり。以前にも腎臓病患者が受けられる福祉サービスを掲載しましたが、改めて取りあげました。まずは「身体障害者手帳」の取得を
身体障害者に向けた福祉サービスを利用するには、「身体障害者手帳」が必要になります。腎臓病の方の場合は、腎機能検査の数値に加え生活活動能力などから、等級が1級・3級・4級に分かれています。透析治療を受けている方だけでなく、慢性腎臓病の方も身体障害者手帳の対象となる場合がありますので、医師や医療ソーシャルワーカーに確認してみましょう。 ただし、身体障害者手帳は自動的に送られてくるものではなく、手続きをしなければ(申請をしなければ)取得することができません。手続きを行うための窓口は、住民票のある市役所・区役所・町村役場(以下、市区町村)の福祉担当窓口になりますので、手続きの方法や必要書類については、市区町村の福祉担当窓口にお問い合わせください。 なお腎臓移植後でも、免疫抑制薬を服用している(抗免疫療法を行っている)等の場合は身体障害者手帳の対象となるので、手帳を返還しなくてもかまいません。主な福祉サービス(一部)
利用できる福祉サービスには、つぎのようなものがあります。いずれも「身体障害者手帳」が必要になります。- 税金の減免
- 障害者控除……障害者本人が納税者の場合は、「所得税の障害者控除」や「住民税の障害者控除」が受けられます。障害者本人に課税対象所得がない場合は、その世帯の納税者が控除を受けられます。
* 問い合わせ先:「所得税の障害者控除」については税務署(確定申告)、または会社等の担当部署(源泉徴収)。「住民税の障害者控除」については市区町村の税務担当窓口へ。 - 自動車税、軽自動車税、自動車取得税の減免……障害者または障害者と生計を同じくする人が運転する障害者(または個人)名義の自動車にかかる税金が減免されます。
* 問い合わせ先:自動車税事務所または都道府県税事務所へ(軽自動車税の減免については市区町村の税務担当窓口へ)。
- 障害者控除……障害者本人が納税者の場合は、「所得税の障害者控除」や「住民税の障害者控除」が受けられます。障害者本人に課税対象所得がない場合は、その世帯の納税者が控除を受けられます。
- 交通機関の運賃割引
つぎの交通機関で運賃が割引になります。- タクシー料金……1割引き。乗車の際に「身体障害者手帳」の提示を。ただし割引していない区域もあるので乗車の際には確認を。
- JR運賃……5割引き。ただし「単独」か「介護者つき」かで割引になる乗車券が異なってくるので、窓口で確認のうえ購入を。私鉄でも割引になる場合があるので窓口で確認を。
- 航空運賃(国内線) 障害者割引率は時期や路線、航空会社によって異なるので、航空会社または航空券発売窓口で確認してください。
- 有料道路通行料金の減額
有料道路の料金が5割引きになります。
* 問い合わせ先:市区町村の福祉担当窓口へ。 - 駐車禁止区域への駐車
駐車禁止等除外の標章を提示することで、駐車禁止区域に駐車することができます。
* 問い合わせ先:市区町村の福祉担当窓口または住所を管轄している警察署へ。 - 水道料・下水道使用料の減免
自治体によっては水道料・下水道使用料が安くなる場合があります。
* 問い合わせ先: まずは市区町村の福祉担当窓口へ。 - 公営住宅への優先入居
自治体によっては公営住宅に優先的に入居できる場合があります。
* 問い合わせ先:市区町村の福祉担当窓口へ。 - 携帯電話基本料金等の割引
携帯電話の基本料金、通話料が割引になります。
(くわしくは各携帯電話会社に確認してください。)
■ 医療ソーシャルワーカー等に相談しましょう!
今回ご紹介したのは一部であり、これら以外にも利用できる福祉サービスがあります。自治体の福祉担当窓口だけでなく、病院の「医療ソーシャルワーカー」や「ケースワーカー」といった相談員にも相談してみましょう。■ くわしく知りたい方に——
おすすめなのが、(社)全国腎臓病協議会が発行している『腎臓病患者の社会保障ガイドブック(2007年度版)』(透析ソーシャルワーク研究会編)。医療・介護・年金・雇用保険のほか、身体障害者や透析者に関わる制度について、わかりやすく整理されている一冊です。
