腎臓教室 Vol.19
市販薬と腎臓病
冷たい風がふきつける寒い冬の季節、のどが痛い・からだが熱っぽく感じる・鼻の調子がいつもと違うなど、「もしかして風邪?」と思われることが多くなるのではないでしょうか。そんな時に市販の薬を飲んでも良いのかどうか悩まれることはありませんか?
また、市販の薬を飲んで手軽に治したいと思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここでは腎不全保存期の方々や腎臓の治療をされている方々が市販の薬を利用される際の注意点をいくつかご紹介します。
まずは主治医に相談を
風邪と一言で言っても、症状は人それぞれに違います。悪寒がする、咳が出る、鼻水が出る、熱が出る、またこれらの症状がいくつか合わさって出てくるなどさまざまです。しかしこのような症状があらわれたからと言って、それが必ずしも風邪の症状であるとも限りません。また特に体力が比較的おちてしまいがちな保存期の方々などは、単なる風邪と思っていたら、それが他の病気の引き金にもなりかねません。
まず第一に、ご自分の判断で風邪と決めつけてしまう前に、必ず主治医の先生へ相談をするようにしましょう。
薬などを購入する際の注意点は?
○市販の薬
やむをえず市販の薬を利用して不快なその症状をやわらげたいと思われる時には、薬局で必ず薬剤師にご自身の症状と、腎臓病の治療をされていること(服用している薬があればその薬の内容)を相談しましょう。薬同士の飲み合わせはもちろん、市販の薬にも腎臓に負担をかける可能性のあるものがありますので、ご自身の体調とその時々の症状に適した薬を選んでもらうようにしましょう。風邪薬(総合感冒薬)は、風邪の諸症状の原因であるウイルスを退治するものではなく、ウイルスの感染によってからだに起こったさまざまな不快な症状をやわらげることを目的とした、いくつかの成分が配合された薬です。いわゆる風邪薬と、解熱鎮痛剤・咳止めなどとの自己判断による併用は、成分や作用が重複し危険な場合がありますので注意しなくてはなりません。また風邪薬を飲み始めて3日くらい経っても症状が良くならないようでしたら、飲むのをやめて病院を受診するようにしてください。
○漢方薬
一方、からだにやさしいという印象のある漢方薬ですが、そこに配合されている生薬の中には、成分名として表示はされてはいませんが、他の薬との飲み合わせが良くない成分や、腎臓に負担をかける可能性がある成分が入っていたり、生薬(植物)由来のカリウム・ナトリウムなどが高い濃度で含まれているものもありますので、保存期の方々の服用には注意が必要です。漢方薬を利用する際にも薬剤師に相談をしましょう。○ドリンク剤
最近は、コンビニエンスストアなどでも簡単に購入できるものにドリンク剤があります。体力がおちてしまっているのでドリンク剤を飲んで体力を取り戻したいと思われる時も、ドリンク剤には比較的高い濃度の糖分や、カフェイン、アルコール分などが配合されているものが多いので、購入される際には注意をしましょう。「風邪は万病のもと」と言われています。なにより予防が大切です。手洗い・うがいの励行はもちろん、室内の温度・湿度を適度に保つよう心がけ、また十分な睡眠と休養をとり、風邪に負けないからだづくり・環境づくりをして、暖かくしてこの寒い冬の季節を乗り切りましょう。