腎臓教室 Vol.18

腎臓病と介護サービス

腎臓病をサポートしてくれる福祉制度については、『そらまめ通信』VOL.12で「透析導入時の社会保障」をとりあげましたが、今回は市町村が行っている「介護保険」「介護予防・生活支援」や、患者会が行っている「通院支援」について、簡単にみてみましょう。
監修:仁真会白鷺病院 医療福祉科科長 藤田 譲 先生

介護保険のしくみ

○65歳からの介護保険

65歳以上の人は、自分で手続きをしなくても自動的に介護保険の被保険者になります(第1号被保険者)。介護保険料は市町村ごとに決められていて、市町村に納めます。そして常に介護を必要とする状態(要介護)や日常生活に支援が必要な状態(要支援)と認定されたときに、介護サービス(下記)を利用することができます。なお、介護保険証は市町村から交付されます。

○40歳からの介護保険

40歳以上65歳未満の人で、医療保険に加入している人は、介護保険の被保険者になります(第2号被保険者)。介護保険料は医療保険料とあわせて徴収されます(医療保険の被扶養者には保険料の負担はありません)。そして「特定疾病」(糖尿病性腎症など15種類)により介護や支援が必要になった場合にかぎり、介護サービスを利用することができます。なお、介護保険証は、要介護・要支援の認定を受けた人か、交付を申請した人にのみ交付されます。

○介護保険による介護サービスを利用するには

介護保険による介護サービスを利用したいと思ったら、第1号被保険者は「介護保険証」を、第2号被保険者は「医療保険証」を持って、市町村の介護保険の窓口へ申請します。本人が申請に行けない場合は、家族などが代行してもかまいません。

申請したあとは、訪問調査を受け、主治医の意見書を提出します。あわせて介護支援専門員(ケアマネージャー)と契約し、認定の結果とご希望に応じた介護サービス計画(ケアプラン)を作成してもらいます。介護サービスを利用した場合は費用の1割を自己負担として支払う、という流れです。

介護保険に関しては、市町村の介護保険の窓口や介護事業所に問い合わせてみましょう。

介護予防・生活支援

市町村によっては、配食サービス、外出支援、寝具乾燥など、独自に介護予防・生活支援を行っています。市町村の担当窓口でお確かめください。

患者会による通院支援

透析患者を透析施設へ送迎する、というボランティア事業が、地域腎友会を主体として全国各地で行われています。各病院患者会役員か地域腎友会事務局に問い合わせてみましょう

介護保険による介護サービス

【在宅サービス】

  • 訪問介護(ホームヘルプサービス)[ホームヘルパーによる身体介護(食事・排泄・入浴の介助、通院の付き添いなど)や生活援助(掃除、洗濯、調理、買い物など)や通院等の乗降車介助]
  • 訪問入浴介護
  • 訪問看護[看護師によるCAPDの管理など]
  • 訪問リハビリテーション
  • 居宅療養管理指導[医師によるCAPDの管理・指導など]
  • 通所介護(デイサービス)
  • 通所リハビリテーション
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 短期入所療養介護(ショートステイ)
  • 福祉用具の貸与
  • 特定福祉用具の購入
  • 住宅改修
  • 痴呆対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 特定施設入所者生活介護

【施設サービス】

  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設

介護保険による介護サービス

65歳未満の人で、介護保険による介護サービスを利用できない場合でも、身体障害者手帳があれば、障害者対象の介護サービス(福祉用具の給付・貸与、住宅改修費の給付、ホームヘルプサービス、デイサービスなど)を利用できます。市町村の福祉の窓口に相談してみましょう。また、訪問看護やリハビリは医療保険により利用することもできます。

※透析導入者のほとんどが身体障害者手帳の1級、透析 前の腎不全の人は程度により3級、4級に該当します。

一覧に戻る