腎臓教室 Vol.13
もっと知りたい検査数値 -BUN・UA・TP・Ab/Alb-
「病院で検査値データをもらっても、英字記号ばかりでよくわからない」そんな声も多いようです。今回は血液検査でお目にかかる、「尿素窒素(BUN)」「尿酸(UA)」「総蛋白(TP)・アルブミン(Ab/Alb)」について簡単にみてみましょう。監修:札幌北クリニック院長 大平整爾先生
尿素窒素(BUN)
肝臓で作られる尿素の一部で、みなさんご存知のクレアチニン(Cr)のように蛋白質に由来する老廃物の一種です。腎機能が低下すると、尿の中に排出されにくくなるため、逆に血液中の尿素窒素濃度があがってきます。腎不全の進行とともに上昇しますが、初期の段階ではあまり変化しません。食生活や年齢、性別などで差が出やすい性質があり、また腎臓以外の原因で上下することもあるので、クレアチニンとの関係をよく観察することで腎臓の機能を調べる目安になります。
尿酸(UA)
「核酸」という体の細胞を構成する物質や、食事に含まれる「プリン体」(これも核酸の一種です)などが主に肝臓で分解されて作られる老廃物で、痛風の目安としても有名です。腎機能が低下すると尿素窒素と同じように尿への排泄量が減るため、血液中の濃度があがります。普段は血液の中に「尿酸ナトリウム」として存在していますが、血液中の濃度が上がると、血液に溶けきれなくなった分が「尿酸ナトリウム結晶」として関節などに沈着することがあり、痛風や腎結石などを引き起こす原因になります。これも腎不全以外の原因で変動することがありますから、尿素窒素と同じように、他の数値を観察しながら腎臓の能力を知る目安にします。
総蛋白(TP)・アルプミン(Ab/Alb)
食事からとった蛋白質は、腸で分解されて「アミノ酸」として肝臓へ運ばれ、そこでさらに別の蛋白質に合成され、血液を通じて体中に送られます。健康な血液には約7%~8%の蛋白質が含まれ、その種類はなんと100種類以上あります。腎機能が低下すると、体に必要な蛋白質が尿の中に漏れてしまうため、血液中の総蛋白の濃度が低下します。アルブミンは総蛋白と同時に行なわれる検査で、血液中の蛋白質の一種です。血中蛋白の約70%を占め、とくに体に栄養を運ぶ重要な役割を担っています。やはり腎臓以外の原因で上下することがあるため、他の検査とよく比べながら腎臓の機能や体の栄養状態を知る目安にします。
また、糖尿病の方はクレアチニンの上昇よりも早い時期でアルブミンの数値が下がることがあるので、腎機能の低下を早めに発見する大切な目安になります。
いかがでしたか?
主な検査には血液検査と尿検査などがあり、今回は血液検査の項目の一部を解説しました。それぞれの平均数値などは入会時にお送りした「検査値ガイド」をご参考ください(検査方法の違いなどで基準値に差を生じる場合もあります)。検査の数値はそれぞれの関係を観察しながら判断されますので、一種類の数値だけで判断するのは禁物です。食生活はもちろんのことですが、ストレスの有無も数値に影響することも。体を穏やかにやすませて、リラックスしながら趣味や娯楽などの楽しい時間をもつことも、じつは大切な治療のひとつなのです。