腎臓教室 Vol.104 – 腎臓サポート協会

腎臓教室 Vol.104

CKD (慢性腎臓病 )の薬物療法
~腎臓の機能を長持ちさせるために~

 CKD(慢性腎臓病)では、さまざまな薬が用いられ、正しく使うことが非常に重要です。今回は、日本腎臓病薬物療法学会の理事で、「透析患者への投薬ガイドブック」などを執筆なさっている古久保拓先生に、CKDで使われる薬についてわかりやすく解説していただきました。

特定医療法人 仁真会 白鷺病院 古久保 拓 先生

1.CKDの薬物療法

■ CKDにおいて薬を使う目的は何でしょうか?

主に以下の目的で薬を使います(図)

図.CKD(慢性腎臓病)でおこなわれる薬物治療の目的

目的を複数兼ねている薬があります。
  1. 腎臓の機能を保護する
  2. 腎臓の機能を肩代わりする
  3. 関連して発生しやすくなる疾患を予防する

 血液や尿検査などにより腎臓の働きを評価しつつ治療を進めていきます。覚えていただきたいことは、CKDは腎臓だけではなく、心臓、脳、足などの重要な血管にダメージを与え、命に関わる疾患を発生しやすくなるのです。このため、腎臓を守るのと同時に、全身の血管を守ることも考えて治療を進めます。

■ 腎臓の機能を保護する薬とは何でしょうか?

 CKDは徐々に進行していきますので、できるだけ悪くなるスピードを遅くするのが治療の目的です。
よって悪くなる原因をできるだけ取り除く以下のような治療をおこないます。

■ 腎臓の働きを補う薬にはどのようなものがありますか?

 腎臓は生命を維持するための働きを数多くしています。
以下のような薬によりその働きを補うことで、CKDに伴って発生しやすい諸症状を管理していきます。

 重要なことは、薬を服用しているだけでは、腎臓の働きを助けられないということです。食塩、蛋白、カリウム、リンなどの制限に代表されるように、食事療法を中心とした生活の改善を同時におこなっていくことが非常に大切です。

■ 透析を始めても薬は必要でしょうか?

 たとえ透析を始めても、「心臓や血管や骨を守る」という目的は存在し続けるため、必要な治療は継続することになります。ただし、透析療法で肩代わりできる作用の薬については原則不要となります。

2. 知っておきたい薬の知識

■ 薬を捨てる能力

 腎臓は体内から薬を捨てる働きもおこなっています。CKDではその働きが弱くなり、場合によっては副作用がでることもあります。このため、ある種の薬では腎臓の働きに応じて服用する薬の量を調節する必要があります(全ての薬が該当するわけではありません)。投薬を受ける際は必要な調節がなされているか、医師や薬剤師に確認することをお勧めします。

■ 急な悪化

 腎臓はあることをきっかけに急に悪くなることがあります。薬がその原因になることがあり、痛み止めはその代表です。特に血圧を下げる薬と利尿薬を使用している方が痛み止めを新たに処方された場合、そこで下痢・嘔吐などを起こすと危ないのです。少なくとも下痢、嘔吐などの体調不良のある場合にはいつもより水分補給を多めに心がける必要があり、そのようなときにはどの程度水分を摂取したらよいのか、あるいは薬の服用を一時的に中断したほうがよいのか、医師と相談しておくことをお勧めします。

■ おくすり手帳

 ご自身の大切な薬の記録です。薬が有効で安全に使われるためには、現在の投薬状況の把握が欠かせないのです。きちんと記録し、受診時や調剤を受ける際には常に提出するようにしましょう。もちろん情報が寸断されやすい災害時にも大切な手がかりになります。

■ サプリメント・健康食品はOK?

 サプリメントや健康食品は「健康な方が健康を維持しようとして使用」するものと考えることができます。CKDのような疾患がある状態で、それらの必要性や安全性は不確かなことが多く、医療従事者がそれらの摂取を勧めることは通常ありません。ある種のもの(例えばカリウムを多く含むもの)は、CKD患者さんに害になることがはっきりしているので、使用を禁止すべきなのです。どうしても使いたいと思ったら、まずはCKDの専門医に相談することをお勧めします。

 必要な治療薬を飲み続け、その効果について再評価するためには定期的に受診しなければなりません。また、ご自身の薬についてなんでも相談できる「かかりつけ薬剤師」をつくることもお勧めいたします。

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