透析なんでもQ&A

透析を始めるとどのような生活になりますか。
血液透析(HD)は週3回、4~5時間の透析を受けるため少なからず生活は変わります。透析を受ける日には、一日のスケジューリングをきちんと行い、治療生活と仕事や学業とのバランスをとりましょう。
腹膜透析(PD)は、日中数回(1回約30分)透析液を交換して治療をします。自分のライフスタイルに合ったスケジュールを組むことが可能です。特にAPDであれば就寝中に行いますので、これまでに近い通勤や通学が可能です。
透析治療を開始するにあたって手術をすると聞いて不安です。
血液透析(HD)の場合は、動脈と静脈をつなぎ合わせて、血液の取り出し口(シャント)をつくる手術をします。 腹膜透析(PD)の場合は、腹部にカテーテルという細いチューブを埋め込む手術をします。
高齢者でもできますか。

高齢者でもできますか。

高齢の方でも、透析をされている方はたくさんいます。
血液透析(HD)の場合は、治療後、倦怠感を訴える方が多いようです。治療は病院で医師やスタッフが行います。ただし、ご自身で通院ができない場合は家族の協力や通院サービスの利用が必要となります。
腹膜透析(PD)の場合は、24時間連続してゆっくり治療を行う体に優しい方法ですので、高齢の方にも適していると言われています。治療を自分で行うことに不安を感じる方が多くいらっしゃいますが、病院で十分な教育をうけ自宅での治療を開始しますので、多くの高齢者の方がご自身で治療を行っています。ご自身で操作ができない場合は、家族や訪問看護師の介助が必要となります。
食事制限はどうなりますか。
透析を始めた後でも、残っている腎臓の機能を守り、体調を良好に保つためにも、食事制限は必要です。保存期の食事療法を緩やかにした程度と考えた方がうまくいきます。一方、高齢の方は低栄養状態になりやすいので極端な制限をするより、積極的に食事をとる工夫が大切です。
血液透析(HD)の場合は、1~2日置きの治療ですので、特に水分・塩分・カリウムのコントロールが大切です。腹膜透析(PD)の場合は、透析液に糖分が含まれていますので、エネルギーは控えめに。ただし、カリウム透析液の中に出てしまうので、野菜や果物の制限は緩やかです。
入浴はできますか。
入浴はできます。
血液透析(HD)の場合は、透析治療をした当日は、入浴は避けましょう。
腹膜透析(PD)の場合は、お腹からカテーテルがでていますので、個人の状態によっては、必要に応じてカテーテル周囲を保護して入浴します。主治医にご相談ください。
外見は大きく変化してしまうのでしょうか。
血液透析(HD)内シャントは、皮膚の下につくるので、基本的には外からは見えませんが、針を刺した跡はしばらく残ります。
腹膜透析(PD)の場合は、カテーテルが体の外に出ている部分は30cm程度です。多少注意は必要ですが、日常生活に大きな支障はありません。カテーテルは衣類で問題なく隠すことができますが、慣れるまでは多少気になるかも知れません。
旅行はできますか。

旅行はできますか。

血液透析(HD)の場合は、旅行中でも透析日には透析を受ける必要があります。透析日に治療を受けられるように、主治医を通じて目的地の病院にあらかじめ血液透析(HD)の予約を入れておけば、旅行も可能です。
腹膜透析(PD)の場合にも旅行先で普段通り透析を行います。透析液や備品をあらかじめ手配し、バッグ交換を行う場所を確保すれば問題なく旅行が楽しめます。また、APDの場合は宿泊先で夜間行いますので日中の時間は比較的自由です。
血液透析(HD)腹膜透析(PD)いずれの場合も、国内だけでなく海外旅行を楽しまれている方もたくさんいらっしゃいます。旅行を計画する際は、主治医や医療スタッフに早めに相談しましょう。
性交渉に影響はありますか。
透析自体の影響はほとんどありません。但し、腎臓病に伴う抑うつや不安によって、性交渉に影響が現れる場合があります。また、ホルモンの変化や糖尿病高血圧の治療薬の服用によっても、性欲に影響が現れる場合もあります。しかし、腎臓病だからといって満足のいく性交渉ができないわけではありません。パートナーと十分に話し合い、場合によっては主治医やソーシャルワーカーなどに相談しましょう。決して恥ずかしがる必要はありません。
妊娠することは可能ですか。
男性の場合には、透析をしていても子供をつくる能力は保持されています。しかし、女性の場合は、腎不全がすすむにつれて、月経不順、無月経となり、受胎能力は低下します。妊娠は不可能ではありませんが、危険をともなうことがあるため、パートナーはもちろん、主治医と十分に話し合うことが大切です。
スポーツはできますか。

スポーツはできますか。

ウォーキング、ジョギング、サイクリング、テニス、ゴルフなど、ほとんどのスポーツをすることができます。
血液透析(HD)の場合はシャントに気を付ける、腹膜透析(PD)の場合はカテーテルに気を付けるなど、治療の特徴によって注意点が変わりますので、どのようなスポーツなら問題ないか、あらかじめ主治医に相談してください。
透析はお金がかかるのではと心配しています。
血液透析(HD)腹膜透析(PD)ともに医療保険ならびに公費負担医療制度で医療費が援助されるので、安心して透析治療を受けることができます。
「特定疾病療養受領証」と「身体障害者手帳」の取得手続きなどを行えば。世帯収入にもよりますが、医療費の自己負担はほとんどありません。これらの制度は患者さんからの手続き申請が基本ですので忘れずに行いましょう。
詳しくはこちらから「保険制度」

 

血液透析(HD)腹膜透析(PD)、途中で治療を変えることはできますか?
血液透析(HD)腹膜透析(PD)も途中で治療法を変更できます。腹膜透析(PD)の場合、腹膜の働きや腹膜透析(PD)を続けられる期間には個人差があります。自分の体の「腹膜」を使って透析を行いますので、腹膜の働きが弱くなってきたら、いずれ血液透析(HD)に移ることを検討します。腹膜透析(PD)は残っている腎機能を長く保ち、透析前とあまり変わらない生活スタイルを続けられますので、まずは、腹膜透析(PD)透析をスタートして、残っている腎機能と腹膜の働きを見ながら、血液透析(HD)へ移る考え方もあります。
血液透析(HD)腹膜透析(PD)、どちらを選べばいいでしょうか。
腎臓病の治療では、保存期の食事療法薬物療法から透析、移植までの長い期間を見据えて、病気の進行、その時々の体の状態やライフスタイルにあった治療を選んでいくことが大切です。最初は、食事や薬でしっかり腎臓を守り、病状が進行して腎臓の機能だけでは体のバランスが保てなくなってきたら、腹膜透析(PD)を開始します。その後、血液透析(HD)の併用や、血液透析(HD)への移行、機会に恵まれたら移植をするなど、病態に応じた治療に取り組むと良いでしょう。

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