血液透析(HD)

血液透析(HD)の特徴

日本ではほとんどの血液透析患者さんが施設で血液透析を行っていますが、同じ透析機器を自宅に設置して自分で「在宅血液透析」を行うこともできます。
「在宅血液透析」では、家族(介護者)や透析器を置くスペースが必要ですが、通院が月に1回程度でよく、仕事の継続や自由に過ごす時間が増えます。
また、透析回数に制限が無いため、毎日のようにできて体が楽になると実感している方も多くいます。
やってみたいと思う方は医療機関に相談するとよいでしょう。
以下は一般的な施設での血液透析についてです。

  1. 通常、医療機関で行います。
  2. 通院は週3回程度で、医療スタッフが治療を行います。1回の治療時間は4時間程度です。
  3. 動脈と静脈をつなぎ合わせる手術で、静脈に多くの血液が流れるようにします(内シャント)。
  4. シャントに刺した針から血液を体の外に取り出し、体にたまった余分な水分や老廃物を器械で取り除きます。
  5. きれいになった血液は別の針から体に戻されます。
  6. 治療中に動き回ることはできませんが、患者さん同士でおしゃべりしたり、テレビを見たり、読書をして過ごす方が多いようです。

患者さんの体験談はこちらから

しくみ

血液を体外に取り出しダイアライザーと呼ばれる透析液が流れる透析器(人工膜)を通すことによって、血液中の老廃物や余分な水分を透析液に移動させ、取り除き血液を浄化します。きれいになった血液は、再び体内に戻されます。

しくみ

シャントとダイアライザー

血液をダイアライザーに送るためには、血管に針を刺して血液を体外循環させる必要があります。そこで、腕の動脈と静脈をつなぎ合わせる手術で、静脈に多くの血液が流れるようにします(内シャント)。血管が細い患者さんでは、人工血管を使って動脈と静脈をつなぎ合わせることもあります。内シャント透析療法を始める1~2ヵ月ぐらい前に約1時間の手術を行って右手か左手、どちらかの腕につくります。
シャントは患者さんの大切な生命線です。シャントのある腕もふつうに使ってかまいませんが、外傷や、シャントに強い力がかからないように、シャントのある腕は、袖口のきつい服を着ない、血圧測定や採血をしない、腕時計をしないなど、注意が必要です。緊急で血液透析(HD)を開始する場合には、カテーテルとよばれる管を一時的に、首や足の根元の太い静脈へ留置する場合もあります。

血液透析(HD)の注意点

血液透析(HD)治療を行っていただくにあたっての注意点もあります。下記のほか、何か疑問があったらすぐに主治医や医療スタッフに尋ねましょう。

低血圧

水分や老廃物が急激に除去されると、血圧が低下し、めまい、発汗、吐き気などを起こすことがあります。生理的食塩水の点滴や10%食塩水の注射ですぐに回復します。

悪心

治療中および治療後の血圧の変化などによって、悪心を生じることがあります。治療中は生理的食塩水の点滴や10%食塩水の注射ですぐに回復します。治療後では横になって血圧が上がるまで休むことが必要です。

痙攣(けいれん)

透析中、急激な水分除去によって、筋肉の痙攣が起こることがあります。生理的食塩水の点滴や10%食塩水またはカルシウムの注射ですぐに回復します。水分を多くとりすぎないように注意しましょう。

頭痛

透析の終わり近くに頭痛がすることがあります。これは血液中の水分や老廃物が急に取り除かれたことによるものです。安定した透析を続ければよくなります。

疲労感

疲労感

血液透析(HD)後に疲労感を感じることは珍しくありません。たいてい翌日までには回復します。
以上のような注意点は腹膜透析(PD)ではめったにおこりません。

腎臓病療法の知識やサポート情報をお届けする会員サービスはこちら。

振返りバナー透析と移植