そろそろ透析と言われたら・・・ 医師と看護師によるアドバイス – 腎臓サポート協会

そろそろ透析と言われたら・・・ 医師と看護師によるアドバイス

ずっと付き合っていく治療法だから
QOLは大切に考えたいポイント

――透析には血液透析(HD)と腹膜透析(PD)の2つの治療法がありますが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか?また、治療方法を検討する際には、どのようなことに留意すればよいのでしょう?

加藤先生  腎臓は血液をきれいにしたり、体内の水分量や電解質の調整を行う働きをしていますが、腎臓病になるとこの働きが悪くなります。そこで腎臓の働きを代わりに行うのが透析です。血液を体の外に循環させダイアライザーと呼ばれる透析器(人工の膜)を通して浄化するのが血液透析(HD)、内臓を守る生体膜である腹膜を利用して浄化するのが腹膜透析(PD)です。
血液透析(HD)は腕にシャント(血液を体の外に取り出し、浄化した後に戻すための出入口)を作る手術、腹膜透析(PD)は腹部にカテーテル(透析液を体の中に入れて、老廃物を含んだ透析液を体の外に出す出入口)を埋め込む手術がそれぞれ必要です。
血液透析(HD)を行うには 透析器を備えた医療施設に週3回程度通う必要があり、1回の透析には3~4時間かかります。腹膜透析(PD)の場合は自宅や職場で患者さん本人が行う在宅治療になります。1日数回、ご自分で透析液を交換するCAPDと、就寝中に器械によって自動的に透析液の交換を行うAPDがあり、仕事をしている方からは「今までどおりの生活スタイルが続けられる」という理由でAPDが比較的多く選ばれています。
それぞれのメリットですが、血液透析(HD)は週数回の通院の際に医療スタッフがデータなどをしっかりチェックするので何か異常があればすぐに見つけられること、腹膜透析(PD)は日常生活の自由度があるためQOL(クオリティ・オブ・ライフ=患者さんの生活に対する満足度)が高いということと、残存腎機能(残っている腎臓の機能)を保てるのでその間の予後(今後の病状についての医学的な見通し)がよいことも期待できます。移植をすれば透析は必要なくなりますが、透析治療は一生の付き合いになるため、特にQOLは大切に考えたい点です。

保坂先生 腹膜透析(PD)、血液透析(HD)、どちらを選ぶかということですが、選択の余地がない場合もあることをご承知おきください。たとえば糖尿病性腎症で目が悪かったり、指先で行う細かい作業ができない方、それにかなりご高齢の方の場合はご家族など周囲のサポートがないと腹膜透析(PD)を行うことは難しいかもしれません。逆に、心臓や循環器の負担が心配なときは、透析中の水分除去量などの急激な変化がある血液透析(HD)は選べないといった制約もあり得ます。
このような問題がない場合は、ご自身が自分の生活スタイルの中で重視していることを優先して、どちらがより適しているかを医師と相談するとよいでしょう。実際に治療を受けている先輩患者さんから話を聞いてみるのも、大変参考になると思います。

上村典子看護師

上村看護師 生活スタイルの中で優先したいことというのは、たとえば「仕事をしているから腹膜透析(PD)を選んだ」「旅行に行きやすいから腹膜透析(PD)を選んだ」「温泉が好きで腹部のカテーテルを人に見られるのはいやだから血液透析(HD)を選んだ」「子どもに治療している姿を見せたくないから血液透析(HD)を選んだ」というようなことが挙げられると思います。ご自分にとって大切なこと、好みなどと照らし合わせて考えてみることをお勧めします。

加藤先生 腹膜透析(PD)は長期間続けると合併症のリスクが高まるため、個人差もありますが治療期間は5~7年くらいに限定されます。しかし、残存腎機能という点から見ると腹膜透析(PD)です。そこで、透析導入のときはまず腹膜透析(PD)を導入し、そのあと腹膜の状態をチェックしながら血液透析(HD)に移行する『PDファースト』という考え方があります。このPDファーストですと生命予後がよいという調査結果もあります。ですから、患者さんが選択の判断に悩んでいるときは、まず腹膜透析(PD)をお勧めしたいですね。