患者さんのためのコミュニケーション講座 – 腎臓サポート協会

患者さんのためのコミュニケーション講座

【第3回】「伝えたいことはメモして準備」「対話の始まりはあいさつから」

事務局長 山口育子さん

お話 NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML 事務局長 山口育子さん

 いよいよ今回から、病院や診療所での実践編に入ります。
 「病院へ行くときは、伝えたいことや聞きたいことをメモにして持っていくといいですよ」と、お話したところ、「メモのつくり方がわかりません」という方がいらっしゃいました。なるほど、聞きたいこと、伝えたいことをはっきりさせておくことも、少しの訓練が必要なのかもしれません。でも、コツをつかめば簡単です。まずは、メモの準備から考えていきましょう。

「伝えたいことはメモして準備」—カンタン!メモづくりマニュアル

 ふだん「診察室に入ると緊張する」という“あがり症”の人はもちろん、そうでない人も、限られた診察時間です。ぜひ、メモを持っていきましょう。

《メモのつくり方》

  1. 思いついた順でよいので、「伝えたいこと」「不安に思っていること」「聞きたいこと」「確認しておきたいこと」を書き出します。
  2. 次に、書き出したものに優先順位をつけて、3~4つに絞り込みます。文章もあまりダラダラしないように、まとめます。それを1枚の紙に箇条書きにします。
  3. あとは、それを伝えたい相手に「メモを持ってきました」と、見せるだけでOK。

 これを医師や看護師に見せれば、あなたの「伝えたい」「聞きたい」という意志は確実に伝わります。歓迎こそすれ、嫌がる医療者はいないはず。場合によってはそのメモに、その場でお返事や図を書いてくださることもあります。耳で聞くだけでは、わからない文字も「書いてください」と言えますね。
 メモによって、最小の時間で最大の効果を得ることができます。あなたと医療者のよき媒介者になるのがメモなのです。

「対話の始まりはあいさつから」—よいコミュニケーションの環境づくり

 これはもう、申し上げるまでもなく人間関係の基本ですね。医療者と患者の間でも、人間関係やお互いの理解の始まりはあいさつです。診察室には、「おはようございます」「こんにちは」と、あいさつをしながら入っていきましょう。あいさつを返してくれない人はいないと思います。そこから和やかな空気が生まれ、よいコミュニケーションができる環境が整うのです。
 私の経験をお話しますと、以前入院した際、不思議に思ったのは、ほとんどの患者さんはお医者さんには「○○先生」とお名前で呼ぶのに、看護師さんは「看護師さーん」などと呼んで、個人名で呼びかける人がほとんどいなかったこと。確かに病室には、一日のうちに何人もの看護師さんが入れ替わり立ち代りやってくるので、お名前を覚えるのは大変そうです。でも、ベッドに寝ているとネームプレートはよく見えました。そこで「○○さん、この点滴は何の薬ですか?」「○○さん、どうぞよろしくお願いします」と、お一人おひとりの名前で呼んで話しかけ、退院までそれを続けました。退院してから半年後‥‥私は再度入院になりましたが、看護師の方々が私のことを忘れずに覚えていてくださったのです。そのうちのお一人は、「山口さんは、私のことを『看護師さん』ではなく、名前で呼んでくれたので印象に残っていました。とても緊張したけれど、同時にとても嬉しかった」と話してくださいました。親しみとほどよい緊張感がある、ある種よい関係を築けたと思っています。あいさつだけでなく、コミュニケーションの一つとして「名前を呼ぶ」ということも、相手の「個」を認めていることになってよいのではないかと思います。
 最近の医学教育の中の「医療面接」には、「診察時には患者さんの名前をフルネームで呼び、自分もきちんと名乗ってあいさつし、自己紹介する」とあり、徐々に医療現場でも浸透してきているようです。患者さんの顔も見ずにパソコンに向かって「今日はどうされました?」では悲しいけれど、医療者も変わってきています。コミュニケーションは双方向性、相互努力です。私たち患者も最低限、あいさつは気持ちよくしたいものですね。

 次回は、「よりよい関係づくりはあなたにも責任が」「自覚症状と病歴はあなたを伝える大切な情報」をお届けします。

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