患者さんのためのコミュニケーション講座 – 腎臓サポート協会

患者さんのためのコミュニケーション講座

【第2回】コミュニケーションの基本とは?

事務局長 山口育子さん

お話 NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML 事務局長 山口育子さん

 こんにちは。COMLの山口です。前回の話はいかがでしたでしょうか。さて、今回は、コミュニケーションの基本についてお話したいと思います。

日常のコミュニケーション能力をアップさせよう!

 納得できる医療を受けるために、「相手(医師、看護師など)の話を正確に聞く」「不明な点を聞く」「自分の思い・考えを伝える」といったコミュニケーションの力が大切です。ただ、前提として理解していただきたいのは、「“医療におけるコミュニケーション”という特別なものはない」ということ。なぜなら、コミュニケーションは日常生活における人間関係の基本だからです。
 日常生活の中で、相手の話す真意をきちんと受け取ったり、わからないことをそのままにしないで聞き返して確認したり、知りたいことを整理して質問したり、自分の考えや希望を伝えたり……。もし、こういった日常のコミュニケーションができていなければ、ただでさえ緊張し聞き慣れない専門用語が飛び交う非日常の場所(診察室)で能力を発揮することはできません。ふだんの生活でできていて初めて、診察室でも良好なコミュニケーションがとれるのです。
 そこで、「私はトシだから…」「もともと能力がないから…」と、すぐにあきらめないでいただきたいと思います。コミュニケーション能力を高めるのに、年齢制限はありません。「自分のからだのことだから、ちゃんと自分で知っておきたい」と思い、常により上手にコミュニケーションをとりたいと意識している患者さんなら大丈夫。これは、長年、医療相談やコミュニケーション講座の講師をしている私の経験から言えることでもあります。

大原則は、(1)気づき (2)質問 (3)確認 です

 まずは、次のことを実行してみましょう
  1. 「なぜ?」「何のこと?」「何かしら?」などの「?」を一日に何回かはアタマに点せるような、敏感な人になりましょう。(気づき)
  2. わからないことをそのままにしないで、質問するクセをつけましょう。(質問)
  3. 誰かと会話したときは、自分が理解したことを自分の言葉でまとめて、相手に「…こういうことですね。」と確認しましょう。(確認)

大原則は、(1)気づき (2)質問 (3)確認 です

(1)「?」。これが気づきです。まず自分の疑問点に気づかないと、質問も確認もできません。「わからないことが何なのか、わからない」という患者さんも時にお見掛けいたしますが、そんな時は周囲にアンテナをしっかり張って、少しでも気になったことを「質問」につなげます。別の意味の気づきとしては、自分を客観視してみることです。自分の話し方・聞き方について、家族や信頼できる友人から率直に批評してもらったりします。自分と人との会話の様子をビデオに撮って、観るのも一つの手です。自分のコミュニケーション方法について、自他ともにいわゆるダメ出しをしてもらいます。コミュニケーショントレーニングなどでビデオを撮ると、皆さん一番におっしゃるのはご自分の表情。「こんなに無表情だったの?これでは相手に感じがよくないな」とか、「深刻な話をしていても、へんに笑っていて、何を考えているのかわからない人に見える」など。思ってもみなかったことに気づかされます。痛いほど自分のクセがわかります。
批評を受けるときは、耳の痛いことを言われても謙虚に受け止めることが大切です。改善点をみつけ、少しずつでよいので直していきましょう。それによって人との会話がスムーズになります。

(2)は、レストランでも練習できますよ。たとえばイタリア料理を食べに行ったとします。メニューには知らない料理が並んでいることが多いですね。そんなとき、多くの人は、知っているメニューに選択肢を絞って選びがちです。でも、そういうときがチャンスです!知らないメニューについて、お店の人に聞いてみましょう。意外に自分の好みに合いそうなものが発見できたりします。「質問する」という行為を通して、自分の思いを言葉にする訓練ができます。ただ思っても、言葉にして伝えなければ相手には伝わりません。以心伝心はごく親しい特定の人とだけ、と思っていただいた方がよいでしょう。「質問」をいろいろな場面で習慣化すると、今度はわからないことがあると聞きたくてうずうずしてきます。ぜひ、質問力をつけましょう。

(3)は、たとえば書棚の整理など頼まれたとき、やみくもに片付けるのではなく、「サイズ別に並べようと考えたのですが、それでいいですか」などと確認します。すると「いいえ、ジャンル別にしてください」と訂正してもらえます。診察室でも、医師から薬の効果の説明を受けたときなど、「今の説明で、その薬で痛みがまったくなくなるとイメージしましたが、それでよろしいですか?」などと医師(説明者)へフィードバックします。「そうですよ、その通りです」となることもあるでしょうし、「少し違います。痛みがまったくなくなるということではなく、少し軽くなるという意味です」という答えが返って来るかもしれません。それによって、「こんなはずじゃなかった!」「そんなふうには聞いていなかった…」ということが避けられます。

 この原則、(1)気づき (2)質問 (3)確認 を心に留めて、日常生活の中で練習を続けてみてください。最初は大変そうに思えますが、うまく意思の疎通が図れると楽しくなってきますよ!コミュニケーションは相互作用。あなたの努力は相手に通じます。

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